鉄緑会東大英単語熟語 鉄壁鉄緑会英語科
角川学芸出版 刊
発売日 2009-08-08
頭の使い方を重視した単語集 2009-11-05
私見だが、東大入試に必要な語彙力の特徴は、単なる訳語の丸暗記ではなく、多少なりとも使える(作文etc.)ことが要求されるという点にあると思う。
しかし本来、文章の読み書きや会話といった自然な言語体験の中で培うべきそうした語彙力を、それ抜きに身につけようとする「単語集」という媒体そのものが、東大入試の求める語彙力のあり方とはそもそも相反する性質を持っている。だからこれまで「東大入試」を掲げたあらゆる単語集には、どこか胡散臭さが付きまとっていた。
この『鉄壁』は、類義語、派生語、意味の連鎖を重視した絶妙な単語配列と、豊富な確認問題とによって、受験生が現実の限られた時間の中で必要な語彙を身につけるための有効な解決策を示している。
これに半年ほど先駆けて、東大教養学部の英語部会が編集した東大英単というものも出たが、この二つの単語集は全く性質の異なる物である。『東大英単』の方は、東大の新入生の語彙力を、英語のプレゼンやレポートを作成できるレベルに、いかに成長させるかという観点に立っていて、その前提としての、東大に入るための語彙力を養うノウハウは全く示されていない。
それを考えると、一般に英語学習者が「東大」を掲げた単語集に期待するものは、むしろ本書『鉄壁』の方ではないかと私は思う。
本書は、東大入試で抜群の実績を持つ鉄緑会という学習塾が出したものである。同塾は過去に古典や数学の問題集を刊行してきたが、英語科のノウハウは長くベールに覆われていた。本書はその一端をようやく垣間見せてくれるものだが、「質より量」の詰め込みとは一線を画した「頭の使い方」重視の指導法が窺えて、なかなか興味深い。
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